food function and safety

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研究に利用する装置(10)味覚センサー

今回紹介する「味認識装置」は、人間の舌に相当するセンサーを備えているため、この装置自体を「味覚センサー」とよぶことが多いようです。味覚センサーは、九州大学の都甲潔(とこう きよし)教授が中心となって開発しましたが、テレビや新聞などで頻繁に紹介されていますので、ご存知の方もおられると思います。よく、「プリン+醤油=ウニ」とか、「麦茶+牛乳+砂糖=コーヒー牛乳」といった「味の足し算」の話が、味覚センサーを用いて解説されています。

この装置は、人間の舌とよく似たメカニズムを持ち、食品の味を数値化することができます。いわゆる先味(酸味、苦味雑味、渋味刺激、旨味、塩味)だけでなく、後味(苦味、渋味、旨味コク)も測定可能です。これまで、食品の味は官能試験による評価が中心でしたが、味覚センサーの登場で評価方法も大きく変わりつつあります。

味覚センサーは食品の評価に強力な装置ですが、ペットフードの評価にも効果的に利用できます。イヌやネコによる官能評価(嗜好性試験)は、非常に限られた情報しか得ることができません。通常、2種類のフードの比較(選択)に限られますし、人間のように「旨味」や「苦味」といった項目ごとの評価については答えてくれません。私たちの研究室に味覚センサーが導入されてまだ間もないのですが、すでに食品やペットフードの味評価に大きな活躍をしてくれています。

イメージ

上の写真に写っている装置が、私たちの研究室にある味覚センサーです。操作方法は割合と分かりやすいのですが、データの解釈はそれほど簡単ではありません。味覚センサーを利用する際のポイントは、それぞれの食品やペットフードに適した試料溶液の調製方法の選択と、得られたデータの解析・評価にあると思っています。

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