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2011/09/08 『牛乳・肉・たまごからつくる食べもの』(本の紹介8)

私(有原)は、動物資源科学科や獣医学科の学生諸君に、動物性食品を主たる対象とする食品関連科目の講義を担当しています。大部分の諸君は、生きた動物について勉強するつもりで入学していますので、最初は動物の生産物(畜産食品)に対する関心はあまりない様子です。ただ、頑張って彼らに食品の魅力を伝えると、興味を持つ諸君が増えていくので、喜びを感じることも多々あります。

私の講義では、面白さやわかりやすさを重視していますが、これに応えてくれる教科書がなかったのが悩みでした。食品という身近で親しみやすい対象に反して、教科書の記述はかなり硬く細かいものです。食品を学ぶことを主目的とする学科(食品科学科など)の学生諸君にはよいのかもしれませんが、動物資源科学科や獣医学科といった学科に所属する諸君に使うのは違和感がありました。こういったことから、これまで教科書を指定せず、自前の資料を作成して講義を行ってきました。そんな中で見つけたのが、『牛乳・肉・たまごからつくる食べもの』(石谷孝佑, ポプラ社, \2800, 2010/3)です。



書名や表紙からおわかりになると思いますが、大人向けの本ではありません。「小学校中学年~中学向き」と書かれています。「食べものはかせいになろう!」(全5巻)の1冊で、他の4冊は、『豆からつくる食べもの』、『米・麦からつくる食べもの』、『魚・海そうからつくる食べもの』、『野菜・くだものからつくる食べもの』です。『牛乳・肉・たまごからつくる食べもの』は、48ページという少ないページ数ですが、全ページにわたり質のよい写真がふんだんに使われており、文章は写真の解説という感じに配置されています。とくに、乳製品などの製造過程の説明のわかりやすさは見事です。こんなビジュアルに優れた魅力的な本を教科書にしたかったのですが、さすがに教科書指定するのは躊躇しています。しかし、畜産食品(乳・肉・卵)に関する入門書としては、イチオシの本だと思っています。わかりやすい説明方法は、私も大いに参考になりました。学生諸君だけでなく、専門家でも手許に置いておく価値があります。

なお、ビジュアルという点ではかなり進歩が見られる『畜産物利用学』という本がもうすぐ出版されます。今年の講義では、こちらの本を教科書にする予定です。

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