food function and safety

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2011/09/18 『マルちゃんはなぜメキシコの国民食になったのか?』(本の紹介9)

つい先日の私が担当している授業(食品機能安全学)の中で、日本で開発された機能性食品の数は多いけれども海外で成功しているものが少ない旨の話をしました。海外戦略を上手に行って世界的なヒット製品を誕生させているフィンランドの機能性食品の紹介などを交えて述べました。

そんな話をした直後に読んだのが、今回紹介する『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』(安西洋之・中林鉄太朗, 日経BP, \1575, 2011/8)でした。書名に惹かれて買ってみた本でしたが、読んでみると想像していた内容とはかなり違っていました。インスタントラーメン「マルちゃん」がメキシコマーケットに進出した際の成功秘話かと思いきや、海外市場開拓の1成功事例としてマルちゃんが取り上げられているに過ぎません。



本の帯には、「新市場開拓をめざすビジネスマン必読」とあるように、いわゆるビジネス書の範疇に入る本です。海外市場を開拓するうえで重要な異文化対応のポイントが述べられています。海外でのローカリゼーション(その地域に受け入れられること)に成功するためには、文化的背景を理解することが大切とのことです。たとえば、日本のような「ハイコンテクスト文化(暗黙的な情報を重視)」とドイツ・スカンジナビア・アメリカのような「ローコンテクスト文化(明示的な情報を重視)」では、情報の伝え方が大きくことなります。簡単に言えば、日本人は言葉以外の雰囲気による情報伝達を好みますが、ドイツ人やアメリカ人の多くは言葉による詳細な説明を求めるということです。 本書では、世界で売れている8つの日本製品として、「マルちゃん」の他に「キッコーマンの醤油」、「TOTOのウオシュレット」、「公文式学習法」などが紹介されています。海外戦略を考えるビジネスマンだけでなく、製造業への就職を目指す学生諸君が読んでも役立つ本かもしれません。

なお、以下の「フード・ペプタイドトピックス」にも関連書籍を載せているので、こちらもご覧ください。

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