food function and safety

ニュース

2012/07/30 『味わいの認知科学』(本の紹介55)

今回紹介するのは、『味わいの認知科学 舌の先から脳の向こうまで』(日下部裕子・和田有史編, 勁草書房, \3150, 2011/10)という本です。分子生物学と実験心理学を専門とする二人の編者を含めた広範な専門分野の執筆者により、食の「味わい」の科学が興味深く丁寧に解説されています。



もちろん「味わい」は味覚と密接な関係がありますが、それだけでは説明できない複雑な現象です。味とにおいの相互作用、そしてテクスチャー(歯応え、舌触り)や視覚も重要な役割を演じています。さらには、視覚や心理的要因も関わってきます。食の味わいについて、ここまで多角的なアプローチをしている類書はないでしょう。味わいを総合的に理解できる好著であり、食品の研究開発に携わる方々にお勧めの一冊です。本文中に挿入されている13のコラムも、本書の魅力を増しています。

以下に本書の目次をあげておきます。

  • 第1章 味わいの階層的分類
  • 第2章 味の生理と知覚(味、味覚)
  • 第3章 においの生理と知覚
  • 第4章 味とにおいの相互作用
  • 第5章 歯応え、舌触りの生理と知覚
  • 第6章 視覚による食の認知
  • 第7章 おいしさの心理学
  • 第8章 食と脳機能
  • 第9章 食と消費者行動
  • 第10章 食品産業と食認知研究のかかわり

書籍紹介一覧へ行く