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2012/12/11 『二重らせん』(本の紹介73)

今回紹介するのは、『二重らせん DNAの構造を発見した科学者の記録』(ジェームス・D・ワトソン著, 江上不二夫・中村桂子訳, 講談社ブルーバックス, \945, 2012/11)という実に有名な本です。DNAの二重らせん構造の解明は、生物学における今世紀最大の発見と言われています。この発見からすでに60年が経ち、これに貢献したワトソン、クリック、ウィルキンスのノーベル賞受賞からも50年が経ちました。ワトソン博士による名著『二重らせん』(英語版)は1967年に出版されましたが、下の本の帯に書かれているように、本書はワトソンのノーベル賞受賞50年を記念して、講談社ブルーバックスに加えられました。若い方にとっては、ずいぶん昔の話かもしれませんが、一読をお勧めしたい1冊です。読み物(ドラマ)としても、第一級の著作だと思います。



私が『二重らせん』(もちろん翻訳版)を読んだのは、30年以上前の学生のときでした。Nature誌に掲載されたワトソン・クリックによる論文の冒頭部分「われわれは、デオキシリボ核酸(DNA)の塩の構造を提案したいと思う。この構造は、生物学的にみてすこぶる興味をそそる斬新な特質を備えている。」という一節をこの本で見て、当時、学術論文というのはこんな書き出しで始まるものだと思ったりしたものでした。また、本書中に次々と登場するポーリングを始めとするノーベル賞受賞者たちの姿にも圧倒されました。

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