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2013/04/12 『つながりの進化生物学』(本の紹介88)

今回紹介するのは、『はじまりは、歌だった 「つながり」の進化生物学』(岡ノ谷一夫著, 朝日出版社, \1575, 2013/1)という本です。これまで「進化生物学」の本など、ほとんど読んだことはありませんでしたが、新聞や雑誌の書評で何度かこの本を見かけて、手に入れてみました。本書は、著者の長年の研究成果を、川越高校と川越女子高校の学生さん達に講義した内容です。しかし、講義録といった固いものではなく、読者にやさしく語りかけています。随所に挿入されている挿絵も、ほのぼのとしたいい感じのものです。



書名にある「つながり」は、生き物同士の「コミュニケーション」のことであり、生物の「心」や「意識」がどのようにして進化してきたかが主題となっています。「鳴き声」や「歌」でコミュニケーションする鳥のような動物たちは、「心」や「意識」の芽生えとともに高度な「言葉」をもつヒトに至りました。「ハダカデバネズミ」(裸出歯鼠)など、聞いたこともなかった生き物も登場し、楽しませてくれます。本書の魅力をうまく伝えられないのが歯痒いですが、一読をお勧めできる好著です。著者の生の講義を聴いた高校生の皆さんは、本当に貴重な4日間だったのではないでしょうか。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 1章 鳥も、「媚び」を売る?
  • 2章 はじまりは、「歌」だった
  • 3章 隠したいのに、伝わってしまうのはなぜ?
  • 4章 つながるために、思考するために

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