food function and safety

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2013/05/15 『ブラックボックス』(本の紹介92)

今回紹介するのは、『ブラックボックス』(篠田節子著, 朝日新聞出版, \2205, 2013/1)という本です。「ライン」というタイトルで2010年から2011年に「週刊朝日」に連載された小説で、単行本化される際にこのタイトルになりました。食の安全・安心と日本の農業を主題としています。ストーリーには触れませんが、この難しい主題を見事に読みやすくスリリングな読み物に仕上げた作者の力量には脱帽します。



本書には、植物工場、硝酸態窒素、ニトロソアミン、食物アレルギー、遺伝子組換え作物、タンパク加水分解物といった用語が登場しますが、小説の面白さを損ねない範囲で適切に説明されています。また、小説には珍しく巻末に参考文献欄が設けられており、執筆に際して作者がしっかりとした情報収集を行ったことがうかがえます。フィクションですが、サラダ工場などのリアルな描写はノンフィクションにも感じられます。

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