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2016/02/11 『和僑』(本の紹介164)

今回紹介するのは、『和僑』(楡周平, 祥伝社, \1600, 2015/10)という本(小説)です。昨日のフードペプタイド・トピックスでTPPと牛肉・豚肉」を取り上げましたが、日本の農畜産業はTPPや従事者の高齢化といった難題を抱えています。しかし、農畜産業などの一次産業の活性化すなわち地方再生が、日本の将来を大きく左右します。TPPの発効により国内農業は厳しい競争にさらされますが、関税撤廃を追い風にして攻め(海外展開)に転じる好機でもあります。本書では、牛肉で海外市場に挑む話が盛り込まれていますが、単に競争力のある畜産物を輸出するということではなく、調理や接客といった付加価値をからませるところが面白く感じられました。



本書のタイトルになっている「和僑」という言葉は、あまり聞きなれないものですが、「華僑」からきています。広く世界各地に根付いてビジネスを展開している中国人華僑のように、日本人ももっと積極的に海外展開してみてはという発想です。ネットで調べてみると、「香港和僑会」や「タイ王国和僑会」といった団体が見つかりますので、「和僑」という概念はすでに着実に成長しているようです。

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