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2016/05/11 『美味しさの脳科学』(本の紹介166)

今回紹介するのは、『美味しさの脳科学 においが味わいを決めている』(ゴードン・M・シェファード著, 小松淳子訳, インターシフト, \2450, 2014/5)という本です。日本語タイトルは親しみやすいものになっていますが、原題は「Neurogastronomy(ニューロ・ガストロノミー)」とちょっと専門的です。著者のイェール大学・シェファード教授は、におい・味と脳の関わりの研究分野の第一人者で、嗅覚神経科学領域の父とも呼ばれている研究者です。本書でも、新しい風味の科学として、ニューロ・ガストロノミーを紹介しています。



本書の目次を下にあげましたが、26章のタイトルを眺めるだけで、この本の奥深さがうかがえるのではないでしょうか。帯には、愛嬌のある犬が「へぇ~、味わいの元になる嗅覚は、ヒトの方が断然、上手だったなんて!」などとあるため、最初は私も気軽に読める本かと思いましたが、じっくりと読むべきタイプの本でした。ただ、本書を読めば、ヒトの嗅覚がいかに重要であることを思い知らされるとともに、ニューロ・ガストロノミーの世界にも魅せられることでしょう。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 第Ⅰ部 鼻とにおい
  • 第1章 においと風味の研究の革命
  • 第2章 犬と人間の嗅覚を比べる
  • 第3章 口が脳をたぶらかす
  • 第4章 風味の分子
  • 第Ⅱ部 においを描
  • 第5章 におい分子の受容体
  • 第6章 感覚イメージの形成
  • 第7章 においの空間パターン
  • 第8章 においは顔に似ている
  • 第9章 においのイメージは点描画
  • 第10章 イメージの強調
  • 第11章 嗅皮質への注目
  • 第Ⅲ部 風味の創出
  • 第12章 嗅覚と風味
  • 第13章 味覚と風味
  • 第14章 マウス・フィール
  • 第15章 視覚と風味
  • 第16章 聴覚と風味
  • 第17章 風味を生む筋肉
  • 第18章 知覚系+行動系=ヒト脳風味系
  • 第Ⅳ部 風味が大切なわけ
  • 第19章 嗜好と渇望
  • 第20章 風味と記憶:プルースト再解釈
  • 第21章 過食と肥満の原因
  • 第22章 風味の神経経済学
  • 第23章 ヒト脳風味系の可塑性
  • 第24章 言語とのかかわり
  • 第25章 意識・無意識とのかかわり
  • 第26章 においと風味が人類を進化させた
  • 第27章 胎児から老年まで

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