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2011/2/4 研究のキーワード(3)プロバイオティクスとプレバイオティクス

最近では、「プロバイオティクス(probiotics)」という言葉はずいぶん使われるようになり、乳製品のパッケージでもよく目にします。もともとは、「アンチバイオティクス(antibiotics、抗生物質)」に対比する形で提唱された概念で、「腸内フローラのバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与える生きた微生物菌体」のことです。プロバイオティクスとして用いられている代表的な微生物として、乳酸菌やビフィズス菌があります。

 ところでプロバイオティクスほど馴染みはありませんが「プレバイオティクス(prebiotics)」という概念もあります。こちらは、「腸内に生息する有用菌に選択的に働き、増殖を促進したりその活性を高めることによって宿主の健康に有利に作用する物質」であり、オリゴ糖や食物繊維が相当します。簡単に言ってしまえば、プロバイオティクスが乳酸菌やビフィズス菌といった生きた微生物であるのに対し、プレバイオティクスは乳酸菌やビフィズス菌の増殖促進物質(エサ?)ということになります。さらに最近では、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両者の混合物である「シンバイオティクス(synbiotics)」という概念も登場しています。

私たちの研究室では、乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクス細菌の畜産食品(乳・肉・卵製品)への利用に関する研究を進め、すでに特許取得や製品開発に至っています。また、人間が利用するプロバイオティクスだけでなく、犬や猫といった愛玩動物(ペット)を対象としたプロバイオティクスの開発にかかわる研究にも取り組んでいます。一方、プレバイオティクスに関係する研究として、ペプチド性のビフィズス菌増殖促進物質に注目し、新規のペプチド(Glu-Leu-Met)の発見をしています。

なお、プロバイオティクスやプレバイオティクスについては、以下の 「フード・ペプタイドトピックス」 にも関連情報がありますので、こちらもぜひご覧ください。